基本的な説明

~基本用語~

課程

 東京大学の在学期間は一部(医学部、農学部獣医学課程、薬学部薬学科の一部)を除いて4年である。このうち前半の2年が前期課程、後半の2年が後期課程と呼ばれる。前期課程では科類に関わらず駒場の教養学部で勉強し、後期課程になるとそれぞれの専門分野に従って学部・学科に進学してゆく。

ターム/セメスター

 東京大学の講義の年間スケジュールは4月~7月下旬の夏学期と9月下旬~1月下旬の冬学期に2分される。前者のことをSセメスター、後者のことをAセメスターという。また、セメスターを2分割したものをタームといい、例えばSセメスターはS1・S2タームで構成される。高校の頃の中間・期末各試験をタームの区切りと考えていただけると分かりやすいだろう。セメスターの期間は13週間、タームの期間は7週間である。東大で開催される講義の殆どはセメスター制であるが、英語や総合科目など一部の科目はターム制で行われる。ちなみに、Aセメスター後の春休みはWタームとして扱われる。

コマ

 1つの講義のこと。東大の講義は1コマ105分で、多くの他大学が採用している90分よりも長めに設定されている。これは東大生の勉強時間を長くするための策略……ではなく、90分×15回という授業時間のノルマを13回に詰め込むことが目的だ。13回に制限することで、長期休暇を確保し、海外留学を推進するのが目的らしい。気の毒なことに、東大をマネして105分授業が他の大学にも伝播しつつあるとか。ただし、この方針が必ずしも功を奏した訳ではなく、長くなった長期休みをY●utube等に溶かす東大生が多い。さらに、授業時間が増加したことは学生だけでなく教員にも負担をかけているようだ。そもそも人間の集中力の持続時間を考えると、明らかに無理がある。

 現在はコロナ対策を理由に、多くの大学と同じ90分に短縮されている。それなのにコマ数が増えていないのはどういう了見なのか。今の所、コアタイムなどという用語を用いたり、代わりに課題を増やすだので官庁を煙に巻いているようだが、いずれにせよガバガバである。そのうちバレたら誰がどのように責任を取らされるのか見ものである。

成績評価

 履修した科目の成績は、合格・不合格のみで評価される科目を除いて100点満点で評価される。分類は上段の表の通りであり、50点以上を取れば単位を獲得することができる。

 なお、優に関しては「優3割規定」という原則があり、20人以上の人数が履修する講義(実習除く)は原則として優+優上(80点以上)の割合が3割程度(30~39.99……%)にするように制限されている。そのために泣く泣く79良を手にしてしまう学生が後を絶たない。

単位

 大学での学修の量を示すもの。駒場の前期課程においては、文系は56単位、理系は63単位を取得しなければならない。主としてセメスター開講の講義からは2単位、ターム開講の講義からは1単位を獲得することができる。ただし例外もあり、スポ身、実験・実習は単位が先述のものに対して半分となる。つまり、セメスター開講では1単位、ターム開講では0.5単位となる。履修計画を組む際は、『履修の手引き』を参照して必要な単位を取り逃がさないようよく注意しよう。

在学期間

 前期課程・後期課程ともに在学が可能な期間は4年ずつである。つまり、2年ずつ留年し最大で8年間大学に居座り続けるすることが可能であるという訳だ。ただし、休学した期間は在学期間にカウントされない。

休学(『教養学部便覧Ⅰ』より)

 大事なことのはずなのに、なぜか『履修の手引き』には「休学」の項がない。休学は、前期課程と後期課程あわせて通算4年まで(医学部医学科と農学部獣医学課程、薬学部薬学科は6年)とることができる。そして、休学中は在学年数に算入されないため、留年しすぎてやばくなったらとりあえず休学しておくのも手である。ただし、1年次で一度でも休学するとその年の留年が確定するので注意。休学理由は「経済的な困難」にしておけばだいたい受理される。

キャップ制

 セメスターごとの講義の履修制限であり、1セメスターごとに履修登録できるのは30単位までである。ただし集中講義やTLP科目、専門科目などキャップに算入されない科目も存在する。

 また、1Sセメスターで25単位以上獲得し、90%以上の科目で「優上」及び「優」の評価を受けた者は、教務課での手続きを経てキャップ制を撤廃できる。とはいえ、こんな記事に頼っているような読者諸君の中には、縁のない話だろう。

~科目紹介~

基礎科目

 各科類ごとに定められた必修科目のこと。予め曜限が指定されているため、これ以外の科目は必修の合間を縫って履修することになる。基本的にクラスで一緒に受講することが多いため、シケプリが作成される可能性が高い。また、曜限は年度を経ても上クラから下クラへ引き継がれることが一般的である。

既習外国語

 基本的には英語を指し、英語一列、英語二列S、英語二列Wに分類される。英語一列では、G1、G2、G3と能力別にクラス分けされた上で、『教養英語読本』を用いた講義が行われる。教員による個性が色濃く現れ、教科書の内容を超えた探求的な講義もあるが、だいたいは本文の内容をただただ訳すだけの高校よりもレベルの低い講義である。ちなみにこの『教養英語読本』はⅠとⅡの2種類あり、1年ごとに使用する教科書が変わる。そのため、譲ってもらうならば2年上の先輩からねだるしかない。

 英語二列SはFLOWと呼ばれるスピーキングを重視した講義で、ディスカッションの他に多くの講義では自撮り動画をアップロードすることが求められる。

 英語二列Wは文系ではALESA、理系ではALESSと呼ばれる、英語で論文を書くためのライティング力養成の講義である。内容や課題の量は教員によって様々だが、総じて課題が重い。文系は英語論文を読むことが求められ、理系はそれに加えて実験も行わなくてはならない。また、最終2回は1人ずつ英語で短いプレゼンを行う。主な目的の1つに論文の引用練習があるため、剽窃には気をつけよう。

 また、総合科目Lには英語中級・英語上級という科目から計3単位を取得しなければならないので、取り忘れには注意しよう。

初修外国語

 いわゆる第二外国語。Sセメスターには一列・二列、Aセメスターには一列のみが開講される。これに加えて文系には演習というものがあり、総合科目であるが履修が必須である。これらの科目は全てクラス単位で受講する。

 既修・初修外国語には、例え「不可」でも単位を取得することができる「平均点合格」という救済制度が存在する(詳しくは、「救済」の項にて説明する)。

情報

 1Sセメスターに、正門入って左にある情報教育棟(JK棟)で開講される講義。コンピュータやネットの仕組みについて学ぶが、この講義でメディアリテラシーは身につかないのは、現在の東大生を見れば明らかである。期末試験は全員共通の問題と、教員ごとの個別問題からなる。文系と理系では授業内容が少々異なり、文系では社会における情報技術の運用、理系では申し訳程度のプログラミングを学ぶ。ガチプロ向けの「情報α」もある。

身体運動・健康科学実習

 高校で言うところの保健体育に相当する。通称「スポ身」。前述の通り、1セメスターにつき1単位しか取得することができない。多種多様な種目の中から選択が可能だが、卓球のような人気種目は人数が多いために抽選が行われる。また、Sセメスターの第2回授業時に体力テストが行われ、結果が微妙だとフィットネスを優先的に選ばせてもらえる。ちなみに優3割規定が適用されないため、出席さえしていれば、もやしっ子だろうが竹の子だろうが成績に憂慮する必要はない。

初年次ゼミナール

 通称初ゼミ。文科では論文の書き方を、理科ではプレゼンのやり方を学ぶ。教員ごとに扱う内容が異なり、学生は指定された曜限のうちから抽選で選択することになる。教員による差が大きく、特に文系は期末レポートとして論文を書かなければならないので、課題が厳しい場合は特につらい。文科は点数評価だが、理科は合否のみで判定を受ける。ちなみに、1年で不可ってしまっても2年で再履修が可能だ。

社会科学

 文系の基礎科目。法、政治、経済、社会、数学に分類され、科類ごとに取得すべき条件が異なる。

人文科学

 文系の基礎科目。哲学、倫理、歴史、ことばと文学、心理に分類される。

自然科学

 理系の基礎科目。後述の基礎実験、数理科学、物質科学、生命科学の総称である。

基礎実験

 通称、クソ実験。物理学実験、化学実験、生命科学実験からなる。Aセメスターから開講される。2S2タームの履修が任意である。基本的に理Ⅰは物理学と化学、理Ⅱ・Ⅲ生は化学と生命科学をとるが、変更することも可能。この中では物理学実験が最も面倒臭いので、物理学実験を2Sに回す理Ⅰが多い。文科生の理転に履修が必要となる場合があるので、注意しよう。ガチプロ向けの「基礎実験α」もある。

数理科学

 基本的には1週間で、1S1タームで「数理科学基礎」(週2コマ)とその演習、それ以降では、「線形代数学」、「微分積分学」、及びそれらの演習という3コマの授業を受けることになる。理Ⅰは全て必修だが、理Ⅱ・ⅢはSセメスターでの数学演習が任意選択である。ただし演習には試験はなく、演習の点数は講義の点数と連動する。

物質科学

 理系の基礎科目。力学、電磁気学、熱力学(理Ⅰ)、化学熱力学(理Ⅱ・Ⅲ)、構造化学、物性化学からなる。力学と電磁気学には既修者と未修者を分けるためにAとBの2つのコースが存在する。構造化学には、ガチプロ向けの「構造化学α」がある。

生命科学

 理Ⅰは2S1タームに、理Ⅱ・Ⅲは1年次に通年で開講される。理Ⅰと理Ⅱ・Ⅲでは全く別の内容を学ぶ。理Ⅰの「生命科学」は、もはや生命科学と呼べるものではない。

展開科目

 学生が主体的に学ぶことを目的として開設されている科目。基本的に履修する必要はない。ただ、一部の学科は要望科目として指定しているものがあるので、進学を希望の場合は履修が推奨される。合否のみの社会科学ゼミナール、点数評価を行う人文科学ゼミナールと自然科学ゼミナールが存在する。

総合科目

 リベラルアーツの理念に基づいて、学生が主体的に様々な分野を選択して学ぶことが出来る科目であるが、何かと制限が多いため不自由を感じざるをえない。必修でコマが埋まっている、興味のある総合科目が同じ時限で被っている、キャップ制で取れる講義数が制限される、修了要件を満たすために取りたくない系列の講義をわざわざ履修しなければならない、といった理由で取りたい講義を取ることが出来ないといった問題が多々発生するのである。また、理転を希望している文系学生は進学先が要求科目として特定の講義を指定している場合があるので、『履修の手引き』をよく参照して1Sセメスターから計画的に必要な単位を取得するように心がけよう。講義にはそれぞれL、A~Fの系列があり、科類ごとに取らなければならない系列の単位数が指定されている。

主題科目

 多種多様な専門分野の教員による独自の講義。判定は合否だけで、2Aセメスターまでに2単位が必要。総じてオムニバス講義やアクティブラーニング講義が多い。キャップ制の制限を受けない「集中講義」も多い。

~要求科目・要望科目~

 東大なら、進学選択があるから文系で入学しても理系の専門課程に進めるよ、と高校の進路指導の先生に囁かれた人もいるかも知れない。それ自体は嘘ではない。基本的には2年次の進学選択(次項詳述)で要件を満たしていれば、好きな学部学科に進学することができる。とはいえ、文転が比較的に簡単なことに対して、理転はかなり難易度が高い。その原因は要求科目・要望科目である。要求科目とは、「その学科に進学するためには必ず履修しておかなくてはならない」科目のことだ。一方の要望科目とは「その学科に進学するに当たって履修が強く推奨される」科目のことである。基本的に文科から文系学部へ、理科から理系学部へ進学する際には要求科目は発生しない(唯一の例外が理Ⅰ生が医学部医学科へ進学する場合の生命科学である)。

 この要求科目が、理転と文転の難易度の差が顕著に現れるポイントだ。法・経済・文の各学部はいずれも要求科目を指定していないが、理系学部の大半は理転志望者に理系の基礎科目を要求科目を課している。このため文転するのは容易だが、理転するためには1Sセメスターから計画的に要求科目を履修しなければならない。

 必須条件である要求科目と違って要望科目は任意という訳だが、要望科目を履修していないと進学後に他の学生に遅れを取ってしまうことになるため、やはり履修するのが無難だろう。例として、理学部数学科が要望科目として2年生向け総合科目の「微分積分学続論」「常微分方程式」などを指定している。

~2021年度からの変更点~

 2021年度、「履修の手引き」に比較的大きな改定があった。箇所は次の通りである。

展開科目「文理融合ゼミナール」新設

 さらに新たな名称として「社会科学ゼミナール」と「人文科学ゼミナール」をまとめて「アドバンスト文科」、「文理融合ゼミナール」を「アドバンスト文理融合」が明記された。なぜ、新設された科目にもう一つ名称をつけるのか?

 「文理融合ゼミナール」は、他の展開科目と同じく全科類の学生が履修でき、「認知と芸術」「身体と芸術」「メディアと芸術」の3分野の科目がある。つまり「芸術」が絡めば文理融合ということなのか? ずいぶん薄っぺらい文理融合ですね。ちなみに合否だけでなく、ちゃんと点数がつきます。

展開科目「人文科学ゼミナール」の科目が「テクスト分析」が廃止、「ことばと文化」が新設

総合科目C「ジェンダー論【社会科学】」「ジェンダー論【人文学】」

 大人気講義「ジェンダー論」が2つ増えた。瀬地山角教員の「ジェンダー論」は健在で、他の講義が新設されるということ。女子率2割超えてよかったね。

履修認定カード提出後の履修削除は不可(2021年変更事項)

数理科学の講義と演習の両方他クラス聴講する場合は、対応している講義・演習を履修すること

~進学選択~

 進学先の内定者は基本的に2Sセメスター終了時点での評点を元にして選抜される。この評点とはそれまでに履修した科目の平均点を指すのだが、単純平均ではなく各単位ごとに重率(単位あたりの重み)を掛けた重率平均である。この平均点は重率計算の仕方によって基本平均点と指定平均点に二分される。進学選択は、基本的に第1段階~第3段階で行われる。

基本平均点

 大多数の学部・学科では基本平均点が用いられる。これは、定められた科目(前期課程修了要件の科目と類似)の重率を1、それよりも多く取った余剰単位の重率を0.1として算出する平均点のことだ。この定められた科目は成績上位順に計算されるため、仮に総合科目等で悪い点数を取ってしまったとしても、後にそれよりも良い点数を取ることができれば、悪い方の点数の重率を0.1にしてしまうことができる。このことを俗に「追い出し」という。ただし、必修は追い出すことができないので、追い出しが有効なのは主に文系ということになる。このことからも、平均点を以て理系と文系の頭の良さを比較することは愚行であることがわかる。

 ここで一つ注意がある。成績評価が「不可」の場合はその点数が、「欠席」の場合や科目を未履修の場合は0点が点数計算として組み込まれてしまう。1年生のうちに撤退した総合科目は、2年になってからキチンと取り直すようにしないと、平均点の爆下がりは目に見えているだろう。

指定平均点

 一部の学部・学科では基本平均点とは異なる方法で平均点を算出する。

1.教養学部超域文化科学科

 第2、第3段階で以下の算出方法をとる。

・合格不合格のみの判定の科目を除く全履修科目の内、評点の高い科目上位6割(小数点以下の科目数は四捨五入)に関して重率1を、それ以外は重率0.1をかけて平均点を算出する。

2.工学部全学科

 全段階で以下の算出方法をとる。

・まず履修した科目の評点を右の工学部評点対応表に基づき変換する。

・工学部評点で点数を変換した後、基本平均点と同様の重率による平均点の算出を行う。

ただし、以下の場合は例外となる。

・文科生の場合、重率0.1で加算した基礎科目・総合科目・展開科目について、重率1で計算すると平均点が上がる場合は重率1として参入する。平均点が上がらない場合、重率は0.1のまま。

・理科生の場合、重率0.1で加算した総合科目・展開科目、任意選択だった基礎科目について、重率1で計算すると平均点が上がる場合は重率1として参入する。平均点が上がらない場合は重率は0.1のままである。

3.工学部システム創成A・B・C

 第2段階で以下の算出方法をとる。

・工学部平均点を算出。

・工学部平均点に取得単位数(上限90)をかける。

4.農学部全専修

 第1、第3段階で以下の算出方法を取る。

・基本平均点を算出。

・基本平均点に取得単位数(上限90)をかける。

 3、4に関してはとにかく履修数を増やすことが効果的だ。取得単位数には合格不合格のみの判定の教科も含まれるので主題科目等で空きコマや土日を埋め尽くそう。

重率

一部の学部・学科は、特定の科目の重率を変更して基本平均点を算出するため注意しよう。教養学部、理系学部の一部が対象となる。

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