工学部(1)

既にものづくりの拠点は中国に移ってしまい、日本の工業はこれで終わりなのだろうか。否。ものづくり立国としてSociety5.0の時代をリードすべく研究が行われているのだ。そのためかカタカナの学科も散見される。でもそういう学部に限って底割れするんだよね。

社会基盤学科

東京大学の前身である帝国大学工科大学の初代学長・古市公威が土木を専攻していたことからも分かるように、国立大学である東大と土木工学のつながりは意外と深い。それもそのはず、土木工学は英語で言うとシビルエンジニアリング、つまりは市民工学。道路や橋、ダム、港湾設備など、市民生活を送る際に欠かせないあらゆる設備の設計や整備に関わる、とても重要な学部である。

土木工学は総合工学である。過去に底点が高くても社会性や協調性を持たない、まさしく進振りのためだけに最適化されたような学生たちが専門課程に入った後で伸び悩むという苦い経験があったために、「基本的に点数は信用しない」というのが学科としての方針である。第二段階で珍しく面接を課しているのもそのためで、舐めているとそれだけで内定をもらえる可能性はぐっと低くなる。特に社基Cは「理系の国関」との異名を持ち、簡単には入らせてくれない。万が一第二段階でここを志望する場合は、自分なりの「土木愛」をしっかり確かめてから面接に赴くべきであろう。

社会基盤学科A

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 12 15 12 5.7 5.3 5.9 76.3 79.0 76
理ⅡⅢ 1 7 1 6.3 (???) (6.2~) 86.4 84.9 80.8
全科類 1 10 1 6.1 6.4~ (6.1~) 81.9 82.0 82.2
2 理Ⅰ 7 48 7 * * * 63.0 #63.8 75.3

社会基盤学科B

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 11 17 11 6.8 6.7 7.1 79.2 81.2 79.3
全科類 3 10 3 7.4 7.6 7.2 80.9 87.3 84.3
2 理Ⅰ 6 46 6 * * * 76.7 76.2 70.4

社会基盤学科C

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 4 9 4 7.1 5.8 7.9 74.9 85.0 85.4
全科類 3 14 3 6.9 6.2 7.2 80.1 85.7 85.3
2 理Ⅰ 3 37 3 * * * 67.5 72.3 81.7

建築学科

工学部の中でも指折りのブラックな学科として知られているが、その実情は少しばかり違うらしい。必修がそこまで多くないことに加え、単位自体は(設計製図を除けば)比較的楽単が多く、課題をこなしていれば単位取得は堅い。ではどこがブラックなのかと言うと「自主的なブラック」、つまりいいものを作りたいという情熱のあまり無限に時間を溶かして自分の設計を極めているという意味でのブラック。それでも楽しんで頑張っている人が多いというからここの学科の民はさぞかし大変そうだ。とはいえ中の人はそれなりに楽しんでいるようで、デザインやプレゼンの技術が身につく他、街歩きを楽しんだり、間取り図が読めるようになったり、熱環境、光・視環境、音環境といった知識を応用して自宅や職場の環境を改善したりすることもできる。およそ人が生きていくにあたって住まいは一生涯欠かすことのないものなので、そういう意味では大学で学んだものを本当に将来社会に出た後に生かせるか不安な人にとっては格好の進学先…なのかもしれない。

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 34 58 35 5.0 4.4 4.0 65.9 67.5 67.7
全科類 6 39 6 7.3 6.5 6.3 76.4 76.1 75.3
2 理Ⅰ 13 96 13 * * * 65.7 64.6 61.8
全科類 4 137 4 * * * 65.5 74.9 69.2

都市工学科

工学科の名前ではあるが理系科目は必修ではなく数弱に優しい。というか、理系科目を一切とらなければ文系学科と大差ない。いまさら物理や数学を勉強したくないけど理転したい方にオススメの学科である。底点もそこまで高くはないので、楽して卒業したいならどうぞ。

都市工学科都市計画

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 15 26 15 5.7 5.3 6.6 75.3 74.2 74.5
全科類 6 24 6 7.6 7.0 6.3 78.7 78.8 78.4
2 理Ⅰ 10 94 10 * * * 72.1 72.2 71.6
全科類 2 158 2 * * * * * *

都市工学科都市環境

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 7 7 7 3.6 #~2.6 (~3.0) 68.1 66.4 68.9
理ⅡⅢ 3 10 3 6.1 5.0 4.7 75.4 76.9 67.9
全科類 3 11 4 6.2 5.0 (~5.0) 74.9 72.1 68.9
2 理Ⅰ 4 59 4 * * * 68.6 63.8 68.5
全科類 4 98 2 * * * 69.0 62.6 67.7

機械系二学科

機械Aの定員が95人、Bが45人。人数だけに関していえば教育学部や薬学部すら凌駕する、東大の中でも指折りの大家族学科である(なお、そのうち女子は10人に満たない)。AとBの見分け方は、「演習でいいスコアが出た時に大声で元気にはしゃぐのがA、ほくそ笑んで小さくガッツポーズをするのがB」とのこと。また某教員曰く、「成績の分布を取ってみると、綺麗に2つの山に分かれる。そのうち低いほうがAで、高いほうがBだ」。

ちなみに中の人達の共通の意見として、事務のスタッフさん達がめちゃくちゃ優しい事が挙げられる。何でも、心が洗われるレベルだとか。前期教養とは真逆である。

そんな機械系2学科は、コロナ騒ぎの中でも学科全体でいち早く動いた。4月の第一週目からZoomを使いこなすことはもちろん、教員やTA、職員も入ったSlackチャンネルをいち早く開設、全学生と2回の面談を行うなどフォローアップにも余念なし。遂には「我々機械系、誰一人見捨てることはしません」と言い放つまでに至った。「No one will be left behind」って、SDGsか何かか。

機械A

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 57 75 57 4.6 4.2 4.9 69.8 67.6 69.7
理ⅡⅢ 2 5 2 7.2 6.3 5.8 79.9 77.3 81.2
全科類 2 21 2 6.3 5.5 4.9 75.1 76.2 78
2 理Ⅰ 31 191 31 * * * 68.3 62.8 65.5

機械B

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 25 42 25 6.6 7.2 7.0 81.0 79.4 80.6
全科類 1 19 1 8.0 7.6~ 7.1 80.7 87.0 91.2
2 理Ⅰ 13 153 13 * * * 75.2 77.3 75.8

航空宇宙工学科

この年、航空宇宙工学科の教員たちはひどく頭を悩ませていた。その原因は、学科の底点が無駄に高いせいで、毎年のように出現する「点数が高かったから特に航空や宇宙に興味がないけど何となくこの学科に来た」という意識が低い学生たちである。加えて肝心の底点も最近は下降気味で、今や計数工学科の後塵を拝すことも珍しくはなくなった。

そこで教員たちは発想を転換させ、学生たちに航空学科の奥深さを教え込むための授業を新しく開講することにした。この授業では毎週1エピソードずつ航空機事故のドキュメンタリー番組を放映してそれをレポートにまとめるということを行い、事故の悲惨さや事故の原因に思いを馳せ、空の安全を守るという学科の崇高な使命に対する意識を高めることを目的としている。ちなみにこの授業を最後まで完走すると、教授からレバノン料理をおごってもらえるらしい。かくして、この授業に学科の将来は託された。これで、落ち込んでいた底点も学生の意識もボナン回復することだろう。めでたしめでたし。

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 32 49 32 6.6 7.0 7.1 80.4 80.8 79.6
理ⅡⅢ 1 2 1 # 7.5~ (7.5~) 83.0 - 79.7
2 理Ⅰ 18 67 18 * * * 77.4 77.5 76
理ⅡⅢ X X X X * * * 79.3 *

電子情報工学科・電気電子工学科

まとめてEEIC、もしくは電気系と呼ばれることの多いこの2学科は、ソフトよりの電子情報工学科(電情)とハードよりの電気電子工学科(電電)からなる。ただ、一部の必修・選択科目が異なるなどはあっても、受ける講義の多くは同じであり、大きな差はない。よって、情報系に興味があるが点数が足りないので電電を志望するというのはよくある話である。

4年次には研究室に配属されるが、この際も2学科の壁はほとんど無く、電電の学生が電情よりの研究室を志望することが可能である。近年は学生が電情の方のキラキラした研究室に集中してしまう傾向が見られる。この研究室配属では、同じ研究室を志望した学生の中でも平均点の高い順に優先して配属される。よって、人気の研究室に入るためにはある程度の点数をEEICの講義で稼ぐ必要がある。従来は、平均点ではなく合計点によって配属の優先順位が決まっていたため、学生は身を削り片っ端から講義を受け、点数を積み重ねていた。

合計点制度廃止後の今、EEICは「工学部の中では」相対的にホワイトな方と言えるだろう。卒論・院試で忙しい4年次にも講義を取らないといけないという改悪もあったが、全体としてはEEICの民のQOLは改善されつつあると思われる。受ける講義の数が多いとも言われるが、他学科と比べて過去問など試験対策の制度が充実している。

今や猫も杓子もディープラーニング。約150年の歴史を誇る電気系もAI人材を育てるべく、機械学習の演習・講義を新設したり、プログラミングの講義でCのみならずpythonも使うようになったりと、惜しげもなく便乗している。電情の院では 欧米に行けなかった 中国人留学生が、ほんの少しでもAIの香りがする研究室なら、とこぞって押し寄せている。何を隠そう、筆者もAIブームにつられ、完全に雰囲気でAIをやっている。

電情よりではメディア処理、自動運転などの他にもIoTやブロックチェーンなどやたらキラキラした分野に関われる研究室がある。一方で、電電の方は半導体や通信、光学、電力など「質実剛健」な研究を行う研究室も多い。読者諸賢は、くれぐれもブームに流されて安易に進路を選択しないよう願う。

電子情報工学科

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 26 61 26 6.8 6.6 6.3 77.3 76.9 77.7
理ⅡⅢ ※6 6 4 6.8 6.4 5.7 75.5 73.7 73.9
全科類 3 40 3 6.7 6.5 6.2 77.1 76.0 77
2 理Ⅰ 14 177 14 * * * 76.1 72.9 75.7
全科類 10 228 10 * * * 72.2 71.6 73.4

電気電子工学科

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 33 70 33 6.8 5.5 #(~2.7) 68.3 72.1 68.2
理ⅡⅢ ※6 19 2 6.8 6.4 5.7 71.9 72.0 73.3
全科類 9 55 8 6.0 5.3 (~3.9) 68.0 71.2 69.2
2 理Ⅰ 21 201 21 * * * 70.5 69.7 69
全科類 10 239 - * * * - 75.3 75.2

精密工学科

名前だけはカッコよく聞こえる…気がする学科。理二からの進学者も毎年一定数いる。学科のスローガンは「ロボテクとプロテクで社会をデザイン」というらしいが、実際のところちゃんとロボットを動かせるのかは色々と疑わしい。というのも、学科で教えているプログラミング言語はPythonで、学生の中にはC言語をあまりやってない層もいるらしいからだ。Pythonはインタプリタ型の言語ゆえに、C言語のようなコンパイラ言語と違って処理速度が遅い。つまりは画像処理とかならばPythonでも出来なくもないが、スピーディな反応を要求されるロボットを動かすにはあまり適していないということである。こう見えても実は「元」シス創だからね、しょうがないね。もしどうしてもロボットを動かしたいというのなら、大人しく機械Bに行きましょう。

段階 科類 2020 2019 2018 2017 2016 2015
定員 志望者 内定者 底点 底点 底点 底点 底点 底点
1 理Ⅰ 25 44 26 5.5 4.8 4.9 64.6 61.8 #39.7
理ⅡⅢ 3 10 3 6.4 6.3 6.0 75.1 73.2 70.3
全科類 3 25 3 6.1 5.8 4.9 $$$ 68.1 65.1
2 理Ⅰ 11 183 11 * * * 67.1 61.3 54.8
全科類 3 227 3 * * * 66.3 67.2 67
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